「さくらのクラウドで提供されたRancherOSを試す」の続きです。Rancher で Kubernetes 環境を作ってアプリをデプロイしてみます。
Rancher Server セットアップ
Kubernetes 環境を構築するためのテストなの Rancher Server は冗長化などは考えず
docker run -d --restart=unless-stopped -p 8080:8080 rancher/server
で起動させます。 起動したらまずは画面上部の「ADMIN
」→「Access Control
」で認証設定を行います。Active Directory とか LDAP とか GitHub などを使えますがテストなので「Local Authentication
」で。
Kubernetes Environment 追加
Rancher は1つのサーバーで複数の Docker クラスタ(Orchestration)を管理することができ、クラスタ毎にアクセス権の管理ができたりします。クラスタ化も Rancher 独自の Cattle の他、ここで試す Kubernetes や Docker Swarm、Mesos にも対応しておりそれぞれを簡単に構築することが可能です。 左上の「Default
」(デフォルトの Environment 名)と表示されているメニューから「Manage Environments
」にアクセスします。「Add Environment
」ボタンから作成画面へ移動し、「Environment Template
」で「Kubernetes
」を選択して任意の名前を入力して「Create
」ボタンをクリックするだけで準備完了です。今回は「k8s
」という名前にしました。後は、この環境にホストを追加すれば Kubernetes 環境ができてしまいます。 また「Default
」のメニューから今作成した「k8s
」を選択することで環境を切り替えます。 「Setting up Kubernetes」と表示され何やらセットアップが進んでる風に見えますが、進みません。上部に
Before adding your first service or launching a container, you’ll need to add a Linux host with a supported version or Docker. Add a host
と表示されており、Add a host
のリンクからホストを追加する必要があります。
Kubernetes 用サーバーのセットアップ
前回 と同じように RancherOS イメージを使って 2CPU, 2GB メモリのサーバーを3台起動させます。Rancher Server と通信できる必要がありますし、構築するサービスに外部からアクセスするのに別途 Load Balancer などを使わないのであればインターネットに接続させます。 k8s-01, k8s-02, k8s-03 というサーバーをセットアップしました。
RancherOS の更新
前回試さなかったのですが ros
コマンドで OS の更新ができます。
$ sudo ros os
NAME:
ros os - operating system upgrade/downgrade
USAGE:
ros os command [arguments...]
COMMANDS:
upgrade upgrade to latest version
list list the current available versions
version show the currently installed version
更新可能なバージョンが無いかと確認してみると
$ sudo ros os list
rancher/os:v1.0.1 remote latest
rancher/os:v1.0.0 remote available running
rancher/os:v0.9.2 remote available
rancher/os:v0.9.1 remote available
...snip...
v1.0.1
が存在するようなので更新してみます。
$ sudo ros os upgrade
Upgrading to rancher/os:v1.0.1
Continue [y/N]: y
Pulling os-upgrade (rancher/os:v1.0.1)...
v1.0.1: Pulling from rancher/os
627beaf3eaaf: Pull complete
56ecb7539042: Pull complete
ab6a6aa500c0: Pull complete
237fe36f0593: Pull complete
959d9773a286: Pull complete
f62d8177237f: Pull complete
25a6fb770b97: Pull complete
6235a630e44b: Pull complete
fb3adec6ce09: Pull complete
c7354f67942a: Pull complete
Digest: sha256:6656686f65c3820a8399ec64f80b2511cc0441d9202dba445d8d4cab7dfd85e0
Status: Downloaded newer image for rancher/os:v1.0.1
os-upgrade_1 | Installing from :v1.0.1
Continue with reboot [y/N]: y
> INFO[0034] Rebooting
とっても簡単に更新できました。-f
オプションをつければプロンプトも出さずに reboot して更新が完了します。
Docker のバージョン変更
ホストを追加せよってメッセージのところに supported version というリンクがありました。そうです、Kubernetes はまだ最新の Docker には対応していません。 RancherOS に入っている Docker のバージョンはいくつでしょうか?
$ docker version
Client:
Version: 17.03.1-ce
API version: 1.27
Go version: go1.7.5
Git commit: c6d412e
Built: Tue Mar 28 00:40:02 2017
OS/Arch: linux/amd64
Server:
Version: 17.03.1-ce
API version: 1.27 (minimum version 1.12)
Go version: go1.7.5
Git commit: c6d412e
Built: Tue Mar 28 00:40:02 2017
OS/Arch: linux/amd64
Experimental: false
17.03.1-ce
では新しすぎますね。RancherOS は Docker のバージョンも ros
コマンドで簡単に変更できます。sudo ros engine list
で使用可能な一覧が確認できます。
$ sudo ros engine list
disabled docker-1.10.3
disabled docker-1.11.2
disabled docker-1.12.6
disabled docker-1.13.1
current docker-17.03.1-ce
disabled docker-17.04.0-ce
Kubernetes でサポートされているのは 1.12 までなので docker-1.12.6
を使うように変更します。
$ sudo ros engine switch docker-1.12.6
> INFO[0001] Project [os]: Starting project
> INFO[0001] [0/16] [docker]: Starting
Pulling docker (rancher/os-docker:1.12.6)...
1.12.6: Pulling from rancher/os-docker
52160511971f: Pull complete
Digest: sha256:1916540f838dbef62602e0565541a3e25dcb66649369ed697266326fc3cd615c
Status: Downloaded newer image for rancher/os-docker:1.12.6
> INFO[0007] Recreating docker
> INFO[0008] [1/16] [docker]: Started
> INFO[0008] Project [os]: Project started
$ docker version
Client:
Version: 1.12.6
API version: 1.24
Go version: go1.6.4
Git commit: 78d1802
Built: Wed Jan 11 00:23:16 2017
OS/Arch: linux/amd64
Server:
Version: 1.12.6
API version: 1.24
Go version: go1.6.4
Git commit: 78d1802
Built: Wed Jan 11 00:23:16 2017
OS/Arch: linux/amd64
Docker のバージョンも簡単に切り替えることができました。それでは Rancher にホストを追加しましょう。
Rancher の Environment にホストを追加
いよいよホストの追加です。Add a host のリンクか上部メニューの「INFRASTRUCTURE
」→「Hosts
」から追加します。 Rancher は認証情報を設定してやれば各クラウドサービスのAPIを使って自動で AWS EC2 や Azure VM、DigitalOcean の VPS インスタンスを起動し、Docker をインストールしホストとして組み込むところまでやってくれますが、今回は自前でセットアップした RancherOS を登録するので Custom
を選択します。
IPSec のために追加するホスト同士で 500/udp, 4500/udp が開いていれば、ホストのIPアドレスを入力して(省略したら Rancher Server が接続元のIPアドレスを使う)、次のテキストエリアに表示されている docker コマンドをホストで実行するだけで完了です。
sudo docker run \
-e CATTLE_AGENT_IP="{node-ip-address}" \
--rm --privileged \
-v /var/run/docker.sock:/var/run/docker.sock \
-v /var/lib/rancher:/var/lib/rancher rancher/agent:v1.2.2 \
http://rancher-server/v1/scripts/7BC9F0A0ECE7DD1C2EF7:1483142400000:0gH7Zulb3WzXMgclidhtiXZ8Ag
こんな感じのコマンドを実行するだけ。 3台登録するとこんな感じになります。
これは全てのコンテナの状態が緑ですが、3台起動する過程で停止して移動させたりもろもろあるので赤も混ざってきます。stop 済みの赤いコンテナは手動で削除しました。 「INFRASTRUCTURE
」→「Containers
」では次のような表示になります。
ホストは Deactivate
でそれ以上 container を起動しなくなりますが、動いていた container はそのまま残ります。Deactivate
状態のホストは削除することが可能です。削除されたホストで稼働していた container は必要ではれば別のホストで起動されます。ホストが3台以上になると etcd が3台構成となりますが、etcd は同一ホストで複数起動させられないため、3台未満では etcd の冗長性が担保できなくなります。